こんにちは
ふぁんふぁんです。
ヤフオク、メルカリ、Amazonまで輸入品を取り扱うことは多々あります。
その中で注意していきたいのが、関税です。
輸入でビジネスを行うにあたり、必ずかかる関税や消費税について解説します。
関税の計算方法
関税の計算方法にはいくつかのルールがあります。
確認していきましょう。
1. 外国通貨を円に換算
関税を計算するにはまず外国通貨を日本円に換算します。
このとき、レートの基準となるのは、外国為替相場のレートに必要な調整をした税関のサイトで発表されている、「公示レート」です。
大まかな物品価格を知りたい場合は、Yahooなどの為替レートのサイトを利用しても良いと思います。
・物品価格(外国通貨)×公示レート=物品価格(日本円)
2.費用の合計額
物品を輸入する際には物品の価格に海上運賃、海上保険などの諸経費を加算した
「CIF(Cost, Insurance and Freight)」が申告価格となります。
また、物品価格同様、海上運賃や海上保険についても日本円に換算する必要があります。
・物品価格+諸経費=CIF価格
3.按分
関税率は輸入する物品の種類によって異なるため、さまざまな種類の物品がある場合、高い関税率の物品に諸経費を加算してしまうと、関税額が高くなってしまいます。
そこで、物品の価格割合によって、商品の合計金額をそれぞれに振り分けます。
これを「按分」といいます。
・個別の物品価格÷物品の合計額=個別の物品に加算する諸経費の割合
・個別の物品価格+(個別の物品に加算する諸経費×諸経費の割合)=個別の物品のCIF価格
※CIF価格は1,000円未満を切り捨て、これが関税額を算出する課税母体となります。
4.関税額を算出
課税母体となる個別のCIF価格に物品ごとの既定の関税率をかけて個別の関税額を算出したら、次にそれぞれの関税額を合計し、100円未満を切り捨てます。これで納付すべき関税額の合計が算出できます。
・個別のCIF価格×物品ごとの既定の関税率=関税額
・それぞれの物品の関税額の合計→100円未満を切り捨て=関税額の合計
関税率の調べ方
それぞれの物品に課される関税を計算するうえで必要となる、関税率は「実行関税率表」と呼ばれるものを読まなくてはいけません。
実行関税率表とは
実行関税率表は輸入統計品目表とも呼ばれ、貿易で取引されている物品のすべてのHSコード(輸出入統計品目番号)が記載されているものです。
HSコードとは、世界各国の税関で通関を行う際に素材や使用目的によって割り振られた番号のことで、税番とも呼ばれます。実行関税率表ではすべてのHSコードが一覧となっていて輸入通関時に適用される関税率を知ることができます。
現在では税関のサイトにも掲載されていて、誰でも閲覧が可能です。
関税率の優先順位
輸入する物品に課される関税率には複数あります。
また、輸入通関時に適用される優先順位も決まっていて、これは実行関税率表にも記載されています。
例外はEPAを締結している国から輸入される物品で、個別に設定されるEPA税率がある場合には、優先順位の高い税率とEPA税率を比較し、税率が低い方が適用されます。
EPAとは、「Economic Partnership Agreement」の略称で、「経済連携協定」とも呼ばれます。
特定の国や地域同士での貿易や投資を促進するため、主に以下の内容を約束する「条約」です。
■ EPAに含まれる約束の例
①「輸出入にかかる関税」を撤廃・削減する
②「サービス業を行う際の規制」を緩和・撤廃する
③「投資環境の整備」を行う
④「ビジネス環境の整備」を協議する
・基本税率(General)
関税定率法により、あらゆる輸入品目に定められている税率です。
・暫定税率(Temporary)
関税暫定措置法により、一定期間に輸入される特定品目を対象としてる暫定的な税率です。
・特恵税率(GSP:Generalized System of Preferences)
関税暫定措置法により、開発途上国あるいはそのような地域を原産地とする特定の輸入品について適用される税率です。一般の関税率よりも税率が低く設定されています。
・特別特恵税率(LDC:Least Developed Country)
関税暫定措置法により、国連が定めた後発開発途上国を原産地とする輸入品について、適用される税率です。税率は全てゼロとなっています。
・WTO協定税率(協定税率)
WTO協定の譲許表により、WTO加盟国を原産地とする輸入品について、それ以上の関税を課さないことを約束した税率です。
・経済連携協定税率(EPA税率)
日本と特定の国との間で締結されたEPAによって定められた税率です。当該国を原産地とする輸入品については協定によって締結したスケジュールにしたがって関税が削減あるいは撤廃されます。
簡易税率
商業目的の輸入では1回で輸入する課税価格が20万円を超える場合が多いため、関税はここまでのような計算方法や関税率に基づいて課されます。
これは「一般税率」と呼ばれます。
一方、関税率には主に国際郵便や国際宅配便で輸入される課税価格が20万円以下の場合に適用される、「簡易税率」というものもあります。
簡易税率のメリット
一般税率では難解な関税率表を読み解いておよそ9,000種類もある関税率の中から適切なものを探さなければなりませんが、簡易税率であれば、7つの大まかな税区分の中から税率を選択することができます。
一般税率のように、適正な輸入申告をする目的で通関業者を依頼する必要もありません。
また、簡易税率を用いて物品を輸入する場合には、必要証明書類が免除され、この書類にはEPA締結国からの輸入品であることを証明する「特定原産地証明書」などがあります。
簡易税率のデメリット
輸入においては、1回で複数の貨物を輸入することが多いため、大まかな税区分をしている簡易税率でも物品によって税率が異なることがあります。
この場合、複数の物品の中で最も高い関税率がすべての物品に適用され合算申告となる可能性が高くなります。このため、あらかじめ、計算していた関税額と異なる場合も少なくありません。
ただし、課税価格が20万円以下の場合であっても、輸入者自身が希望すれば、簡易税率ではなく、一般税率を適用して輸入することも可能です。
個人輸入と小口輸入の違い
課税価格が20万円以下の少額の輸入では簡易税率を適用することができ、輸入の際の手続き上の負担などを軽減することができるものを「小口輸入」といいます。とはいえ、小口輸入では少額の輸入であるということ以外は一般的な輸入と同じように輸入申告が必要であり、食品や薬品といった一部品目では許可や届け出が必要となり、関税の計算方法も同様です。
一方で、輸入者本人が使用する目的の輸入を「個人輸入」といいます。個人輸入の場合、物品の価格に0.6をかけることができ、送料や保険料は課税対象外となる減免措置があり、税制上優遇されています。
ただし、個人輸入した物品は商用目的で利用することはできません。つまり、関税を逃れる目的でもともと商用の物品を個人輸入するのはもちろんのこと、オークションサイトなどでの転売や、輸入した物品を何かの原材料として使用するような行為も一切認められていないのです。
消費税
外国貨物には関税だけでなく、原則として消費税がかかります。
外国貨物とは厳密には保税地域から引き取られる物品のことですが、この保税地域とは、外国貨物を外国貨物のまま置くことができる場所のことをいい、海外から輸入される物品であれば輸入許可を受ける前の貨物を指します。
輸入品の消費税
輸入品に関しては輸入品を引き取る者が消費税の納税義務を負い、消費税を計算する際の算定基準となる課税標準は、CIF価格に、消費税以外の関税と個別消費税の額に相当する金額を加算した合計額となります。
消費税の計算方法
消費税(10%)は、内国消費税(7.8%)と地方消費税(2.2%)に分けられます。
内国消費税(7.8%)は、CIF価格(端数処理前)と端数処理後の関税額の合計(千円未満切り捨て)に対して課税されます(100円未満切り捨て)。
地方消費税(2.2%)は、内国消費税額の22/78に当たる額(100円未満切捨て) です。
また、2019年10月1日から実施された、外食・酒類を除く飲食料品が対象の軽減税率(8%)は、内国消費税(6.24%)と地方消費税(1.76%)に分けられます。
内国消費税(6.24%)は、CIF価格(端数処理前)と端数処理後の関税額の合計(千円未満切り捨て)に対して課税されます(100円未満切り捨て)。
地方消費税(1.76%)は、内国消費税額の22/78に当たる額(100円未満切捨て) です。
・CIF価格+関税額×内国消費税率(7.8%)=内国消費税額
・内国消費税×22÷63=地方消費税額
関税が課されない場合も消費税は課される
注意しなければならないのは、関税を課されない品目についても消費税は課されるということです。
そもそも関税は国内産業を保護するための税金であり、消費税は国内で流通しているすべての商品にかかる税金です。このように税金としての性質が異なることから、関税が課されない場合であっても、消費税は課されます。
つまり、関税が課されないからといって、消費税も課されないと考えてはいけません。
関税等税金が免除となる16,666円以下のルール
関税は、一定の条件を満たす場合に免除されることがあります。
その条件は消費税にも当てはまります。要するに、この条件を満たしていれば、原則として税金は一切免税になるということになります。
それが、インターネット上などで時折見受けられる、「16,666円以下の輸入品であれば税金が課税されない」という文言です。
この根拠となるのは「関税定率法14条18項」によるものですが、実際に課税されないのは、輸入者個人が使用する物品に限られ、商用目的では適用されません。
つまり、正確には課税価格の合計額が1万円以下の品物については関税と消費税が免除されるのですが、輸入者個人が使用する物品は個人輸入に当たり、物品の価格に0.6をかけたものが課税価格となるため、実質的に16,666円以下の物品について免税となるのです。
・16,666円×0.6=9,999円
まとめ
関税にはさまざまなルールや定義があります。これは自国の産業を保護することが大きな目的のひとつですが、近年ではインターネットが急速に普及したこともあり、輸入ビジネスなどに携わる場合はもちろん、個人輸入の場面などで日常生活に関わってくることがあります。
このため関税の仕組みには難解な部分があるものの、どのような物品にどのような計算をして、どのように課税されるのかをきちんと理解しておきましょう。